夏型結露 湿害防止に関して
来月から施行される建築物省エネ法。沖縄を含む8地域(蒸暑地域)では外壁の断熱性能は問われていないのですが、断熱性能を高めようとした際に繊維系断熱材(グラスウール、ロックウール)を用いる場合は「仕様基準ガイドブック」だけでなく「住宅の省エネルギー設計と施工2023」をよく読んでください。また、外張り断熱でプラスチック系断熱材を用いる際には透湿抵抗が大きいものを選んでください。ガイドブックには繊維系断熱材を用いる際には防湿層を設けないようにと書いてありますが気密と仕上材の透湿抵抗について書いていないので壁内に湿った外気が入り込むと湿害に繋がる恐れがあります。
また、温かく湿った外気を室内に多量に取り込むことは室内の温度上昇だけでなく湿度上昇となるため、換気回数を多くしすぎないようにし、機械換気量に応じた給排気口を設ける事と換気ルートを設定してください。気密性が高くない場合、給気と排気のバランスが取れていないと壁内などに湿った外気が引き込まれます。
気候変動による影響で、新築だけでなく、これまで湿害の発生してなかった既存建物でも発生する可能性があります。慌てて同じ材料で直した場合や誤った対策を行うと再発する可能性が高いです。要因調査を行ったうえで改修設計を行い改修してください。
「住宅の省エネルギー設計と施工2023」に書いてある(長時間にわたり23℃以下としない)とあるのは気密性能と防露性能が確保された建物での温度設定です。それら性能が確保されていない建物では日々の外気の露点温度を目安にして温度設定してください。今後の気候変動で露点温度が上昇する可能性が極めて高いので、室温設定は今後変わっていくと自分は考えています。
自分自身の湿害経験と、湿害調査や湿害を起こしている建物の改修設計している中で気をつけておいてほしいことをお伝えしました。ご不明な点がある方はDMください。
夏型結露による湿害防止にご協力の程、宜しくお願い致します。
クロトン設計
下地洋平